これまで東北地方会をリードして来られました中里信和教授(東北大学)が、第2代会長として二期6年間の任期を終え、2018年12月末をもって退任されました。先の幹事会で、中里先生の後任として、思い掛けなく私が推挙されました。療育施設の一勤務医である私には荷が重く、お引き受けするべきかどうか躊躇しました。しかし、事務局を秋田大学小児科の矢野珠巨(たまみ)先生が担当して下さることになり、かつての同僚と二人三脚で、大任をお引き受けする決意をしました。矢野先生の上司であります高橋勉教授のご理解とご支援に深く感謝申し上げます。会長と事務局が別組織になりますが、不都合が生じない様に、しっかり対応して参りたく思います。
さて、てんかん専門医が数多く活躍されている宮城県を除けば、他の東北各県でのてんかん診療は、専門医以外の医師に大きく依存しているのが現状と思います。専門医になるためのハードルは高く、短期間で専門医が増えることは期待できません。100人に一人のてんかん患者が適切な医療を受けられるようにするには、専門医でなくともてんかん診療を行うことができる医師を増やす必要があります。そのためには、各県レベルで、てんかん診療の県内連携態勢を構築するとともに、てんかん診療に興味をもつ医師を発掘し、共に学ぶ場を提供して行くことが望まれます。東北地方会として、各県の状況を踏まえ、てんかん診療に携わる医師を増やす対応を、共に考えて行きたく思います。
てんかん診療が目指すところは、患者さんの発作が無くなることではなく、患者さんが自ら望む社会生活を送られる様になることです。患者さんが困っていることは何なのか、望んでいることは何なのか、その声に耳を傾け続けることは医師としての基本的姿勢と思います。私は長年、日本てんかん協会秋田県支部の副代表を務めて参りました。てんかん学会が地域レベルで、てんかん協会と協力し合う必要性を感じています。運転免許や就労の問題を含め、てんかん患者さんが抱える社会的問題にも、積極的に関わって行きたく思います。
日本てんかん学会東北地方会の発展は、会員のみなさんが、より良いてんかん診療を目指し、切磋琢磨し合い、協力し合うことによってもたらされます。私は、強いリーダーシップをもって牽引することはできませんが、調整役としての役割をしっかり果たすことによって、本会の発展に貢献したいと思っています。みな様のご支援、ご協力、そして忌憚のないご意見をお願い申し上げます。
2019年1月
日本てんかん学会東北地方会 会長 沢石由記夫
秋田県立医療療育センター副センター長 小児科